その日から…

その日
20年前
長田を通過したのはお昼頃だったと思います
新開地を過ぎたあたりから煙が見えてきました
そのまま進むと道の両側のあちこちに火が見えました
そのうちに気が付くと両側は真っ赤な火の壁になっていました
地面から空まで全面が燃えていたような
自分が今いる場所の頭上、4車線分の空だけに火が無いような感覚でした炎の熱さに、バイクに、自分に燃え移るんじゃないかという恐怖から中央分離帯に張り付くように進む
ヘルメット越しにも伝わる熱さ…
でも、今思い出せるのは熱かった事だけで他の感覚は一切出てきません
その先を目指していたので無事に通り抜けられたのだと思います

その日垂水で作業の後大阪を目指しました
三宮を通過したのは夜の始まり頃でした
道が通れずにセンター街を北に加納町あたりを通りました
すっかり日が落ちて街灯もない真っ暗の中バイクのライトを頼りに進みました
途中、垂れ下がった電線に気が付かず接触し転倒
バイクを起こし周りを見回しました暗さに目が慣れてくると電線や看板、コンクリート片やガラスがあちこちに
裏道をあきらめ広い道を進むことにしました

昨年から震災の事を書きだしています垂水に着くまでに手助けができた場面は何度もありました
その事を思うと今でも涙が出ます
思い出すのがつらく、本当は忘れてしまいたいと言う気持ちがありますが伝えることも使命なのかと思い投稿します

シュークリームなんかを笑いながら食べることができる幸せお菓子を作れるという事が実は当たり前じゃないという事お菓子屋の果たすべき役目はこんなところにもあると思います

この記事を書いた人

久保 徹也